化学記事
フォトレドックス触媒(Photoredox catalysis)は可視光を使って光触媒を励起状態にし、 シングルエレクトロントランスファー(SET)を経由してラジカルを生成する手法です。 温和な条件で従来難しかった C–C 結合形成や C–H 官能基化を実現します。
代表的な光触媒と特性:
- [Ru(bpy)₃]²⁺: λ_abs = 452 nm(青色 LED 対応)、 E₁/₂(Ru*²⁺/Ru⁺) = +0.77 V vs SCE、 E₁/₂(Ru²⁺/Ru*²⁺) = −0.81 V vs SCE。 汎用性が高く研究の出発点として最適。
- [Ir(ppy)₂(dtbbpy)]PF₆: 寿命が長い(τ ≈ 550 ns)、 E₁/₂(Ir*/Ir) = +1.32 V。より強い酸化力が必要な反応に。
- 4CzIPN(有機触媒): 安価・金属フリー・合成容易。 E(S₁) ≈ 2.65 eV、広い酸化還元窓を持つ。近年急速に普及。
- Eosin Y: 水溶性・緑色光(λ = 525 nm)吸収。バイオ応用にも使用。
代表反応:
- ラジカル α-アリール化(Nicewicz & MacMillan, Science 2008)
- Minisci 型 C–H アルキル化(ヘテロ芳香環への直接アルキル化)
- デハロゲン化・ラジカル環化(ATRA 反応)
- LMCT を利用した C–H 活性化(Zr, Fe 錯体+光)