化学記事
グリーンケミストリー(Green Chemistry)は、化学合成・プロセス・製品設計において 環境負荷を根本から削減することを目指す考え方です。 1998年に Anastas と Warner が提唱した12の原則は、製薬・化学工業において広く参照されています。
12原則(要約):
- 廃棄物の予防: 廃棄物は処理するより発生させないことが重要
- 原子効率: 出発物質の原子が最大限生成物に取り込まれる合成を設計
- 毒性の低い化学合成: 有害物質の使用・生成を最小化
- 安全な化学製品設計: 毒性を最小化しつつ機能を維持
- 補助試薬の削減: 溶媒・分離剤などの補助物質の使用を最小化
- エネルギー効率: 常温常圧で反応が進むよう設計
- 再生可能原料の使用: バイオマスなど再生可能な出発原料を選択
- 誘導体化の回避: 保護・脱保護などの不必要な工程を省く
- 触媒の活用: 化学量論試薬より触媒(少量で再使用可能)を優先
- 分解設計: 使用後に無害な物質に分解できる製品を設計
- リアルタイム分析: 有害物質生成前に検出・制御できるプロセスモニタリング
- 事故防止化学: 爆発・火災・漏洩リスクを本質的に低減する物質・形態を選択
製薬合成への応用:
- ACS Green Chemistry Institute の PMI(Process Mass Intensity)指標: PMI = 総投入質量 / 生成物質量。理想は 1
- 大手製薬各社が PMI の削減目標を設定し、工程の溶媒使用量削減・触媒回収に取り組む
- フロー合成・酵素触媒・水系反応が代替溶媒として注目